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抜歯のセンス

みなさん、抜歯ってどうやるか知ってますか? マンガみたいにペンチでつかんで引っこ抜くとか? グラグラで抜け落ちそうな状態であればそれでも抜けるでしょう。 でもしっかり生えている歯を抜く場合は、歯とあごの骨の間にくさびを打つようにして、徐々にあごの骨から歯を浮かすような感じで抜いていきます。 ほとんどの方が「え?!骨?」と驚かれるかと思います。 歯の1本1本、またその根っこの1本1本に神経や血管が通っています。 歯を抜くということは、その神経や血管を絶つことになりますので、出血もしますし、麻酔が切れると痛みが出たりします。 また、抜歯後の処置がいい加減だと、出血が止まらなかったり、治癒不全やあごの骨の中に膿の袋を作ることもあります。 抜歯する際、力任せに抜こうとすると、隣の歯やあごの骨を痛めることがあります。 私は左右両方とも利き手なので(普段、箸は左でペンは右)、狭い口腔内でも両手を駆使し、手の感覚を研ぎ澄ませて慎重に行っています。 ただ、抜歯は数をこなせば上手に抜けるというわけではなく、この感覚が重要なのです。 一言でいえば、「抜歯ってセンスです」(…というか歯科治療全般かなりこのセンスが影響するものだと思います。) このセンスがない歯科医師にあたると、痛かったり時間もかかったりして、はたまたお財布までにも響きますよ~(~_~;)(簡単に抜ける歯でも難抜歯という項目で算定されて保険点数アップ=会計アップなので)。

共存共生~エビとハゼの場合~

みなさんは誰かと共生していますか?それとも誰かに寄生していませんか? 2種類以上の生き物がお互いに助け合って生活している場合を『共生』といいます。 これに対して、片方の生き物だけが利益を得る場合を『寄生』といいます。 海の世界では時々共生していたり、寄生していたりする生き物がいます。 今日は「エビとハゼ」についてお話します。 エビは砂や泥に穴を掘って地中で暮しているため、目が直接体表に出てなくて殻の下にあります。 ほとんど目は見えない状態と考えられています。 そのエビが唯一地上に出るのは、掘った砂や泥を外に出すときとエサを採るときぐらいです。 しかし目が見えないエビにとってはこの時非常に危険な状態になります。 一方ハゼはあまり泳ぎ回らずに、海底や岩の上で生活していることが多いようです。 ハゼの体は小さく外敵に襲われやすいので、すぐに逃げたり隠れたりできるように、エビが掘った巣穴を利用します。 ハゼ自身は穴を掘りませんが、これだけではハゼは単なる寄生になってしまいます。 しかし、ハゼはエビに対して利益を与えています。 ハゼはエビが地表に出るときの見張り役をしているのです。 ハゼは目がよく動きも速いため、いち早く外敵がいることをエビに知らせることができます。 お互いに信頼しあい協力する姿は感動的でもあります。 人間は一人では生きていけません。 エビとハゼの共生のように、信頼と協力でいろいろな局面を乗り越えていかなければなりませんね。 ハゼとエビ ハゼとエビのフィギュア

親知らずのカタチ

歯列の一番奥に生えてくる親知らず、本名は第3大臼歯。 先日、この親知らずの抜歯についてお話させていただきました。 親元を離れ親の管理下から外れた頃あたりに生えてくる歯なので、親知らずと名付けられたと言う説は皆さん聞いたことがあるかと思います。 個人差はありますが、だいたい17~21歳(18歳前後)頃に生えてきます。 先日の話のように、現代人では親知らずがない方もいらっしゃいます。 皆さん、親知らずに限らず歯の根っこって見たことありますか? この歯の根っこは、歯が生えた後に徐々に形成されていくのです。 また根っこは1本だったり、2本、3本にわかれていたりといろいろあり、その数の分だけ神経が通っています。 臼歯は前歯よりも複雑な形の場合が多いですが、奥になるにつれて退化していることもあります。 親知らず その1 こちらの親知らずの根っこは「ルン♪」とした感じでしょ! これを抜くときは少し苦労しました。(この苦労話はまた次回にでも…) ちなみに実兄のすみれクリニック院長の親知らずです(~_~;) 性格同様かなり歪んでます… 親知らず その2 こちらは根っこが退化している親知らずです。 実はこの歯は写真では見えないところに小さな歯がくっついています。 不思議ですね~。 本当に歯の形は人それぞれで、個性的なんです!