国内において医師と歯科医師とでは勉強する大学や学部は異なるためか、歯科医師と医師が交流することはあまり多くありません。
しかしここ最近、その医科と歯科の壁を取り払い、連携していこう!という流れが出来つつあります。
昨日、私は愛知県がんセンターにて口腔管理医療連携モデル事業研修会に蒲郡市歯科医師会より派遣され受講してきました。
この事業は「がん患者の口腔管理を考える」ために医科・歯科・薬科に従事する者が集まり、医歯薬間における医療連携がより有機的に成り立つかを検証するために行われます。
がんは生涯で罹患する確率が2分の1、2人に1人はがんになる時代と言われ、身近な問題となっています。
がん治療は従来の手術・放射線治療・化学療法に加え、最先端治療や新薬開発など治療は多岐に渡ります。
それらの治療に伴い副作用も様々ですが、多いのが口腔内の乾燥や口内炎が挙げられます。
これらは、痛みも加わり食事をとることもままならず、QOL(Quality Of Life=生活の質)の低下や全身状態の悪化など、治療の妨げになることも多いです。
私自身は、医科大学の大学病院で研修医として過ごし、歯科口腔外科に勤務していたため、そのような患者さんと多く接してきました。
特に頭頸部に対する放射線治療では口内炎が多発し、化学療法の副作用による嘔吐など、診ている我々にとっても実に辛いものでした。
また、他の科で入院中の患者さんも数多いので、「歯が痛くて食べられない」「歯がなくて食べられない」などで全身状態が改善しない方も大勢いらっしゃいました。
更に最近、米国心臓協会学術集会にて」“歯石除去で血管イベントのリスクが低下”との発表がありました。
次回は、そのことや手術における口腔管理についてお話します。