医歯薬連携事業の口腔管理医療連携モデル事業研修会でのお話を続けていきます。
がん治療の三本柱「手術・化学療法・放射線治療」のうち、最後は化学療法についてです。
一般的に「抗がん剤」が知られているかと思います。
がん治療で行う化学療法は、抗がん剤以外にも分子標的治療薬、ホルモン剤などがあります。
最近は、分子標的治療薬をはじめとする薬の開発がめざましく、治療効果だけでなく患者さんのQOLを考慮した治療法の開発も進んでいます。
とはいえ化学療法は全てのがんに有効とは言えず、治癒が期待できる・延命が期待できる・症状緩和が期待できる・効果の期待が少ない…の4つに分類されます。
治癒が期待できるものとして白血病や悪性リンパ腫など、延命が期待できるものでは乳がんや卵巣がんなど、症状緩和が期待できるものでは食道がんや胃がんなどが挙げられ、残念ながら悪性黒色腫や甲状腺がんでは化学療法はあまり期待が持てないそうです。
今後の新薬に期待しましょう!
化学療法は1回の治療で終了することはほとんどなく、1週間や3,4週間毎の治療を数か月や年単位で行うことが少なくありません。
抗がん剤は毒薬や劇薬に指定され、人体への影響は避けられません。
以前は激しい副作用と長期入院をしなければいけなかった治療ですが、最近では副作用を軽減させる支持療法を適切に用いて、苦痛を緩和しながら治療を行うようになっています。
近年、各種がんに対する診療ガイドラインが発刊されて、薬物療法としてほとんどのがんにおける標準的治療が示され、日本国内のどこででも治療がうけられるようになりました。副作用を軽減させるための支持療法に関するガイドラインも整備され、がん化学療法を取り巻く環境はかなり整ってきたと言えます。
それにより、ここ数年で化学療法を外来でやられる患者さんが増えてきており、今後もますます化学療法は外来が主流になっていくことでしょう。
外来化学療法が増加していくなかで、医師だけでなく様々な職種の医療スタッフが関わり、チーム医療・地域医療などの連携が必要になります。
今後ますます連携体制の充実させることが求められることになりそうです。